RESIDENCE sekitei


敷地は京都府内の新興住宅地の一画。この住宅を設計するにあたり、2つの相反する環境に着目した。一つ目は人工的に作られた環境。画一的に区画された敷地に偽物の材料で構成された画一的で直線的な形態群。そんな周辺環境と対比させるべく、①境界塀を無くし外壁そのものを塀とする、②「大きな使えない南の庭」ではなく、分散された有効な採光庭、③直線的な環境に対しての有機的な曲線、④偽物の材料に対する本物の素材、を意識した。次に自然環境だが、地面から浮いた外周壁は、分散配置された庭を通じて室内全体に自然風を取り入れる役割を果たす。新たな遮熱効果を狙った屋根も重要な要素となっている。人工的な環境と自然環境、この2つの相反する環境と向き合うことで生まれた一見特殊なこの住宅は、非現実的な環境との対比+自然環境との共存を図った住宅である。

構造:下山建築設計室
写真:絹巻豊