RENOVATION base


芦屋市内の築37年の、趣のある外観が特徴のマンションの全面リフォームである。ここでは、素材を最小限にまとめ、無駄な線を廃し、出来るだけミニマムで静寂な空間となるよう、心掛けた。そのため、デザイン、ディテール、素材感には細心の注意を払い、それぞれがそれぞれを補い、高めあう関係性となるように努めている。主だった素材は石と鉄と木のみで、その存在感が大きい床には、ライムストーンを全面に貼り、空間に一定の緊張感を与え、壁や天井はその床の素材感を強調するために白でミニマムに仕上げている。この、冷やかな白とグレーの空間に、ささやかな温もりを与えているのがLDKの一面のみに使用しているフレンチオーク材だが、これは、あくまで人が住まう空間であることから、どこか人間らしさも表現しようとしたためである。

写真:絹巻豊