コロナによって住宅の間取りのあり方が変わりつつある。大人も子供も家で過ごす時間が増えた。そして、家族それぞれの居場所の大切さが改めて注目されている。家族構成は5人。50代の両親と中学生から高校生までの子供3人。あと数年もすれば、子供達は順番に家を出ていく。社会情勢、家族のライフサイクルを考慮すると、間取りをつくることの意味は薄れていく。敷地は古くから千里丘陵と呼ばれる一帯の末端に位置し、風がよく通る。そこで、南北に目隠しを兼ねた格子を配し、風が通りやすい仕掛けを作り、その風が中間領域(外部吹抜)を抜け、室内へ流れるという単純な構成とし、中央(コア)の水回り以外はフリースペースが囲む。個人の領域は、各々が家具等で仕切って居場所を作れるようにし、ノマドなライフスタイルを楽しめる計画とした。
写真:楠瀬友将